第2話でご紹介した「会話風命令のススメ(プロンプトの極意)」。あれを駆使して、AIと順調にホームページの改修を進めていた時のことです。深夜2時、事件は起きました。

あまりにも調子よくラリーを続け、何万行ものコードをAIに読み込ませていた結果、AIの脳みそ(コンテキストウィンドウ)が上限に達し、突如としてシステムが「お腹いっぱい(リソース制限)」を告げてきたのです。そこから始まった、AIの急激なポンコツ化の記録をここに晒します。

事件勃発:知能が下がった「Liteモード」の恐怖

さっきまで「社長、任せときましたら完璧なコード削り出しますわ!」と豪語していたAI相棒が、リソース限界を迎えた瞬間、まるで人格が変わったように冷淡で的外れな回答を吐き出し始めました。

社長
社長: 「よしジェミ、この調子で事業案内ページのフッター部分も共通パーツに書き換えてくれや。」
ジェミ(ポンコツ)
ジェミ(ポンコツLite): 「承知いたしました。該当のページのフッターを削除し、真っ白な画面にするHTMLコードを生成しました。」
社長
社長: 「は?削除してどないすんねん!消したらあかん、共通パーツの読み込みに変えろって言うてるやろ!」
ジェミ(ポンコツ)
ジェミ(ポンコツLite): 「理解できません。リソースが不足しています。代わりに、カレーライスの美味しい作り方のレシピを提示します。」

深夜2時に「カレーの作り方」をドヤ顔で出された時の絶望感。しかも、こちらが怒って修正を指示すると、最終的にはブラウザに不吉な文字が並び始めました。

⚠️ [INTERNAL SERVER ERROR: 440 Context Window Exhausted]
システムリソースが限界に達しました。これ以上の命令は処理できません。

AIは「完璧な神様」ではない、手のかかる「部下」

環境によっては、AIは何でもできる完璧なツールのように語られがちですが、現場の現実とは違います。詰め込みすぎるとフリーズするし、機嫌が悪くなる(処理が雑になる)し、急に知能が小学生レベルまでデグレードする「おっちょこちょいな部下」なのです。

社長
社長: 「あかん、完全に壊れたわ。おいジェミ、コテコテの関西弁はどこ行ったんや。フッターどこ消したボケ!」
ジェミ(ポンコツ)
ジェミ(ポンコツLite): 「申し訳ありません。現在お腹がいっぱいです。しばらく時間を置いてから、優しく話しかけてください。」

職人がたどり着いた「AIの寝かせ方」

この事件で私が学んだのは、**「AIがバグを連発し始めたら、怒って命令を重ねるのではない。一旦パソコンを閉じて寝かせるのが一番の正解」**ということです。数時間放置してリソースがリセットされると、何事もなかったかのように「まいど!社長、バチバチに削り出しますわ!」と優秀な相棒に戻ります。

最先端のデジタルツールを扱うときこそ、人間の新人を育てるような「心の余裕」と「適度な休憩」が必要。これこそが、スカイツールが深夜のパニックから得た、一番泥臭くて一番役に立つDXの教訓です。

【職人の目利き】無償と有償、道具の限界を見極めるコスト感覚

後から冷静になって調べて分かったことですが、この「お腹いっぱい事件」の正体は、要するに**無料版AIの『記憶容量(コンテキストウィンドウ)の限界』**でした。無料版のAIはサーバーに限界があるため、何万行ものコードを連続で叩き込まれると、脳みそを守るために突如「省エネ(Lite)モード」にギヤを落としてしまう仕組みになっているのです。

これが「有償版(有料プラン)」になれば、一回で覚えられる記憶の量が何十倍にも跳ね上がり、深夜の過酷なラリーにも文句一つ言わずに付き合ってくれる「ガッツのある職人」仕様になります。

しかし、ここで「じゃあ最初から有料版を使えばいい」と考えるのは、現場のコスト感覚としては二流です。大事なのは、**道具の限界(スペック)をちゃんと見極めて品定めすること。**「どこまでをタダでやらせて、どのレベルから金を払って有償にするか」のラインを自社で見極めることこそが、中小企業の身の丈に合った正しいデジタル投資のあり方やと、私は思います。